インタビュー&レポート of 美ら音工房ヨーゼフ

Welcome to Musik Josef's Homepage! 美ら音工房ヨーゼフ

top_sab.jpg

新製品

インタビュー1

シュテファン・パール氏、山本直人氏、脇岡総一氏に仲村社長を加えてのお話。各氏が御使用のヨ−ゼフ・オーボエの印象など内容色々です。

interview01.gifプロフィール
*シュテファン・パール(以下文中:S)
11歳からオーボエを始める。パリのコンセルヴァトワールを卒業。オーボエをベルナール・ヘンキン,ピエール・ピエルロの各氏に師事。現在、ラジオ・フランス・フィルハーモニーのオーボエ奏者。

*山本 直人
武蔵野音楽大学卒業。その後、ドイツのベルリンに留学。第55回読売新人演奏会に出演。オーボエを陶山勝、吉成行蔵、北島章、インゴ・ゴリツキ、アンドレアス・ヴィットマンの各氏に、室内楽をローター・コッホ氏に師事。現在、名古屋フィルハーモニー交響楽団のオーボエ奏者。

*脇岡 総一
東京芸術大学卒業。ドイツのハンブルグに留学。オーボエを梅原よしお、リーバマンの各氏に師事。現在、東京都交響楽団のオーボエ奏者。

 2000年12月8日 場所:Werkstatt Josef


S:コンニチハ!ワタシ ハ シュテファン サン デス。

全員:ワハハハ!(笑)

--今日はラジオ・フランス・フィルのオーボエ奏者、シュテファン・パールさんと名古屋フィルの山本先生、東京都響の脇岡先生、それに、ヨーゼフの仲村社長も交えて、いろいろとお話をうかがおうと思います。まず、始めに皆さんはいつ頃からオーボエを始めたのですか?

S:一番最初は、11歳の時でリモージュという町のベルナール・ヘンキン氏の元でオーボエを習いはじめました。その後パリのコンセルヴァトワールに入学し、最終的には、パリ・オペラ座のオーケストラ奏者であったピエール・ピエルロ氏の元で学びました。

脇岡:オーボエを始めたきっかけは・・・別にないなぁ・・・。ブラスバンドでオーボエの譜面があったので、どういう楽器かなぁと興味を持ったのが始まりです。その頃はオーボエが学校になくて、おまけにオーボエの事をまったく知らなかったのに、買ってしまいました。

山本:始めたのは、中学校のブラスバンドです。最初フルートをやっていたのですが、顧問の先生がオーボエの先生で、「やってみろ!」と言われて、それ以来ずるずると・・・という感じでやっています(笑)。

仲村:もしかして、陶山先生ですか?

:そうです。陶山先生に最初習っていて、武蔵野音大に入学してから吉成先生に、卒業してから北島先生に習いました。その年に名フィルに入団し、その後 ベルリンに留学した時はヴィットマンのレッスンを受けました。

--オーボエ奏者で影響を受けた方、又は好きな奏者がいれば聞かせて下さい。

S:ハインツ・ホリガーとモーリス・ブルグ、ピエール・ピエルロですね。それに若手のプレイヤーではフランソワ・ルルーがすばらしいと思います。

:始めた頃、レコードなどを買って聞いてみたのがロータ・コッホです。やっぱり音が良いなあ、と思っていました。

:私は、リーバマン、クレメントが一番影響を受けたオーボエ奏者ですね。

:私は、ホリガー、ブルグ、ピエルロ、ルルー、コッホ、リーバマン、クレメントです。

全員:それじゃ、皆じゃないか〜!(笑)interview02.gif

:そういえば、ホリガーと言えば仲村さん、この前、ドイツで会ったんでしょ?

:はい。ヨーゼフの楽器を試奏してもらったんです。はじめてお会いしたのですが、とてもすばらしい人でした。

:へー、で、どうだったの?

:ええ、とても気に入ってもらえましたよ。

S:フーン、やっぱりね。

--ところで、シュテファンさんはフランス人ですが、どうしてヨーゼフを吹き始めたのですか?

S:それは良い質問です。私も良い楽器を探すため、数多くのオーボエを試奏してきました。YUKIO(註:仲村社長の事)に出会ったのは、15年程前の事で彼がまだ演奏家としてドイツにいた頃です。演奏家としても立派な彼が楽器を作る!というのを聞いてとても興味を持ち、彼ならきっと演奏家の立場に立った楽器を作りだせるだろう、と思いました。10年程前、日本での演奏旅行の際に彼の試作の楽器を吹いたのですが、これは近いうちに世界のトップレベルに達するだろうと感じました。そして3年程前もう一度試奏する機会があり、手放せなくなってしまったのです。何よりも気に入ったのは、私の音楽が、自由に表現出来る、という点です。これは非常に重要な事だと思いますがなかなかそういう楽器がないんですよ。しかもとてもきれいなつくりだし、材料もすばらしい、、、芸術品ですね。

:確かにメカニックに関してはなるべく反応が良くなるよう、硬い金属を使ったり、という研究もしています。

S:私から見れば、ヨーゼフは日本というフランスから遠く離れた外国のメーカーです。外国のメーカーがフランスの演奏家に受け入れられるには、初期の段階から最良の品質でなければ難しいと言えるでしょう。何しろフランスのオーボエメーカーはとても沢山ある訳ですから、フランスの楽器よりも上回る良さがないとフランス人は使わないでしょうね。私がフランスで初めてMade in Franceではないヨーゼフの楽器を使ったプレイヤーでしょう。

--しかし、実際楽器を変えられる時に抵抗もあったのでは?

S:いいえ、全くありませんでした。確かにこれは一つの冒険だったかもしれませんが、私はヨーゼフを使う事で、自分と楽器との関係がより良いものになる!と思いました。

--フランス・タイプのリードとヨーゼフ・オーボエの相性はどうでしょうか?

S:問題ないでしょう。ただ、チューブはヨーゼフの物に変えました。現在使用しているリードは、全長が74〜5mmでチューブは47mmのもので作っています。以前の物は、全長がもうすこし長く、チューブも太い物を使っていました。ヨーゼフのチューブに変える事は、私にとって一つの挑戦でしたが、変えたことによって、より楽器の性能を高める事が出来ました。

--シュテファンさんはフランスで最初のヨーゼフ使用者という事ですね。

S:オーケストラにこの楽器を持っていくと、皆興味津々なんですよ(笑)

--オケでの協調性などはどうですか?

S:私自身はオーケストラの中で、楽器を変えた事によっての違和感はありませんでした。自分自身がいかに良い演奏ができるか、という事が協調性にもつながっていくのではないでしょうか。ただ、以前使っていた楽器とメカニック的なものが違うので慣れるまで大変でしたが、もう3年も使っているので十分慣れました(笑)

--フランスの方には上管の人さし指のキィに鑞をうめずに猫目にしたり、若干、調整の仕方も変えています。

S:運指が違う所もありますからね。

--コンセルヴァトワール式の運指で吹いているのですか?

S:基本的にはそうです。

:先日、ホリガーに会った時に、高音のHの音を出すのに何十種類もの指づかいで吹いているのを見て実にびっくりしました。今まで見た事もないような指づかいで、まるで、指が20本あるのかと思う程でした。

S:そうそう。指使いによって様々な音色が出ますから。メカのシステムによっても、指づかいは若干の違いはありますからね。しかし、そういった違いはあるにせよ、フランスやドイツ、アメリカなどいろいろなスタイルを包容するだけの幅の広さがこの楽器にはあると思いますよ。これから先、フランスのオーケストラの中でも十分広がっていくでしょうね。実際、モンペリエ・オーケストラのジル・ルリエ氏もヨーゼフを使用しています。彼は、「ヨーゼフを吹く事に非常に幸せを感じているんだ」と言っていました。あ、それに、ヨーゼフの完成品のリードも使っていると言っていましたよ。

--脇岡先生は昨年の春からヨーゼフ・オーボエを使っていらっしゃいますが、どうですか?

:オーケストラで吹いていると音程が良くてびっくりしました。高音はちゃんとはまるし、吹いていて気持ちがいいです。しかも、音の質がいいよね。だから、こんなに短期間で「よくこれだけの楽器が出来たなぁ」とびっくりしています。

--山本先生はこの3人の中で一番古株のヨーゼフ・ユーザーですね。

:今の楽器は2年弱、その前はココボロを3年間程吹いていました。やはり気に入っているのは音程の良さですね。しかも響きが豊かだし、ホールで吹いていても客席の後ろまでちゃんと音が通る気がしますね。

--ヨーゼフでは最近普通のノーマル・タイプの他にメタル.タイプとクレメント・タイプという新しいモデルを出しました。そこで、脇岡先生はクレメント・タイプ、山本先生とシュテファンさんはメタル・タイプを使用されているので、それぞれの印象をお聞きしたいのですが。

S:私は、メタル・タイプの非常に力強い音色が気に入っているのですが、今日、このリードを入れるソケットに埋まっている金属を見せてもらってびっくりしました。こんな大きいものが入っているのですね!

--きのこ型の金属が入っています。

S:力強い音色はここから来ているのですね。どこからこんなアイデアが生まれたのですか?

:ヒミツです(笑)。

--山本先生は?

:メタル・タイプが出来たときに吹かせてもらったら、何しろ響き方や音の通り方が全然以前の楽器よりも一段と改良されていて、すごく気に入ってしまったんです。クレメント・タイプも吹いてみましたが、自分にはメタルの方があうのではないかと、、、しっかり吹き込んでも対処してくれる感じがしますね。クレメント・タイプは割と楽に吹いても結構鳴る部分もあって、、、どちらを選ぶかとなると後は好みでしょう。

:メタル・タイプの楽器は好きなんですよ、僕も。あれも良い楽器だと思うし。ただ、クレメント・タイプというのが春に出来て、試奏してみたら気に入ってしまって、それで使っている、という訳です。ただ、違いは確かにあるよね。メタルとクレメントを比較した僕の印象は、メタルが割とクリアーな感じでクレメントの方は木の響きが多い。特に上管の響きがね。クレメントのベルはどういう意図があってこういった形にしたの?

:バロック・オーボエやウインナ・オーボエにも興味はあるんですよ。それでこういったアイデアをずっとあたためていたのです。

:クレメント・タイプという名前の由来もぜひ聞きたいです。

:クレメントさんはヨーゼフのオーボエを一番最初に使って頂いたプロのオーボエ奏者です。2000年に定年退職され、家族で4月に日本旅行に来られ、私の家に滞在しました。その時、一緒に新しいタイプのオーボエを開発する機会を持て、多くのアドバイスを頂きました。クレメントさんは今さら説明するまでもなく世界的に有名なプレイヤーですので、ヨーゼフでは敬意を表して名前をつけさせて頂きました。

--最近、変わった所だとココス(コークス・ウッド)という木材で楽器をつくってみました。

:あ、そうそう、この前シカゴのヘノック氏が持っていったヤツね。

:え!シカゴにもヨーゼフ使ってるひとがいるんですか?interview03.gif

:スーパーワールド・オーケストラで来日した時、池袋店に来てくれたんですよ。ゲヴァントハウスの首席オーボエ奏者のヘンドリック・ヴァールグレン氏と一緒に来て、吹いたらすごく気に入ってしまったみたいで、そのまま持っていかれました。

:ローズやココボロとどう違うの?

:材料の身のつまり方が違いますし、今のところ割れの問題も無いみたいです。

:どこでとれるの?

:キューバのまわりの島々でとれるんです。

--ヨーゼフではE.H.も作っています。

S:今回私は仲村さんとフランスの奏者向けのE.H.を開発するために来日したのですが、1年前に吹いた時よりも、また、フランスのプレイヤーにとっても吹きやすい楽器になりました。低音から高音まで幅広い音色の出せる楽器だと思います。E.H.を吹くのに、低音、特にE音は非常に難しいとされていますが、このヨーゼフのE.H.はオーボエと同様音程が良く問題はない、と確信しました。

:オーボエほど市場は大きくないけどちゃんと作らないといけない楽器だと思います。すでに、ドイツの有名なオーケストラからも注文があるんですよ。

:名フィルはすでにヨーゼフのE.H.を使っていますよ。新世界のE.H.のsoloの出だしの音は全然恐くないし、音程も気にする事なく簡単に吹けるんですよ。オーボエ・ダ・モーレも期待しています!interview04.gif

:そうそう、ホリガーも「オーボエとE.H.がこれだけ良ければダ・モーレも絶対いいにきまってる!」と言っていて、「いつ出来るの?」と聞かれました。今、忙しくて中止していますが近い将来には出来ますので期待していて下さい。

--ところで、昨年の10月にフランスのボルドーで展示会があり、その際、スウェーデン放送のウルフ・ヴィヨルンヘッド氏と一緒に演奏されましたが、いかがでしたか?

S:ボルドーのコンサートでは、イサン.ユンという韓国の作曲家が書いたオーボエ二重奏を演奏しました。この曲は、今から約15年前の作品で、リズムも複雑で、しかも近代奏法も使わねばなりません。音程やリズムを正確に演奏するには、非常に高い演奏技術が必要です。私とウルフ氏は、お互いあまり時間が取れず、さらに住んでいる場所も全然違う為、合わせの時間は1日半しかありませんでした。しかし、彼とは、昨年アンジェでフランス・ダブルリード主催のコンベンションの際に仲村氏と、トーマス・ローデ氏とミュレー作曲の「3本のオーボエとイングリッシュ・ホルンの曲」を演奏した経験もあり、一緒に演奏するのが初めて、という訳ではなかったので、安心して演奏する事が出来ました。なんと言っても、彼は人間的にもすばらしく、又、お互いの呼吸がうまく合い、演奏会ではとても良い演奏が出来ました。ウルフ氏もヨーゼフを使っており、今回一緒にデュオを吹く事が出来、非常に楽しく過ごす事が出来ました。彼も私もおいしいものを食べるのが大好きなグルメですので、本番のステージ意外でもすごく楽しかった!(笑)来年はリヨンでやるんですよ。脇岡さんも山本さんも参加しませんか?

:何があるの?interview05.gif

:そりゃあもう、フランス料理にブルゴーニュ・ワインがたっぷり、、、。

、脇:ワーオ!よだれがでるぅ〜!

:じゃ、焼肉食べに行こう!

全員:さんせーーい!!

こうして、グルメな夜はふけていったのでした、、、。

--という事で、皆さんお忙しい中、本当にありがとうございました。来年のリヨンでのコンベンションに向けてより良い楽器が出来るよう、研究を重ねていきたいと思っています。また、皆さんの御活躍も期待しております。ありがとうございました。

▲ ページトップへ

インタビュー2

『ゲヴァントハウス管弦楽団』の首席オーボエ奏者であるHenrik Wahlgrenさんにお話を聞きました。

interview201.gifインタビュー(ヘンリック・ヴァールグレン)
今回は、メンデルスゾーン、バッハなど著名な音楽家が活躍した町でもなじみの深いドイツのライプチヒにあります『ゲヴァントハウス管弦楽団』(現存する世界最古のコンサート・オーケストラ)の首席オーボエ奏者であるHenrik Wahlgrenさんにお話を聞きました。今回は日本公演(そのあと台湾公演)のために来日されました。

(ゲヴァントハウス管弦楽団 日本語ウェブサイト)



     2005年02月20日 

JOSEF:オーボエをはじめたきっかけは何だったんですか?

HENRIK:ほんとはオーボエなんてやりたくなかったんです(笑) もちろん今は一番好きな楽器ですし、これで仕事させてもらってますが、オーボエとの出会いは、実は両親がこの楽器が大好きで、どうしても僕にやらせたかったってとこからスタートしてるんです。それまではリコーダーからピアノ、サックス、クラリネットといろんな楽器をやって遊んでいたんですが、歌い手で指揮者をしていた父とオルガン奏者だった母親が、12歳のときに僕をオーボエの先生のところに連れて行ってそこからオーボエを始めることになったんです。

JOSEF:オーボエで影響を受けた方がいらっしゃいましたら教えていただけますか?

HENRIK:やっぱり一番はホリガーかな?(笑) 表現力、独創性どれをとってもオーボエでは神様みたいな人だからね。でも音楽で一番影響を受けたのは2番目にオーボエを教えてもらったハンガリー出身のTivadar Banary先生です。Tivadar Banary先生にはオーボエそのものを教えてもらったというよりも、音楽の世界への鍵を開いてくれたというか、音楽の本当のすばらしさを教えてくれた方なんです。 僕にとってはそれ以降の人生にも大きく影響した人でした。オペラに連れて行ってくれたり、舞台にたたせてもらったり、とにかくオーボエのテクニックだけじゃなくて、音楽の楽しさについて教えてもらいました。それからですね、変わったのは(笑)。オーボエに限らずあらゆるジャンルの音楽を聞いて、練習も爆発的にするようになりました。そのおかげで13歳のときにはクリスマスオラトリオをトラで吹いていましたヨ(笑)。

JOSEF:ヨーゼフ(メタル・タイプ)を使われている理由を教えてください。

HENRIK:最初ヨーゼフのオーボエと出会ったのは、う・・・ん、11年前かな?僕が日本にコンサートに行くのを知った友人の演奏家から「日本に行くんだったらヨーゼフに寄ってオーボエ1本買ってきてくれない?」って頼まれて・・・。そのとき始めてヨーゼフのお店に行ったんですが、気づいたら自分の分のオーボエも買ってました(笑) それまでもいろんな楽器を使っていましたが、これほど自分の音楽を忠実に表現できるアイテムはないと思いました。スウェーデンで仕事をしていたころはコークスのノーマルタイプを使っていましたが、その後GSを使って、ドレスデンの歌劇場で仕事を始めたころ、音に幅があってダイナミクスがつけやすくてパワーのあるところが気に入って現在のメタルタイプに切り替えました。もう5年以上使っていますが、楽器の調子がとてもいいので調整を忘れてしまうほどです。あ、今度の夏休みに、オーバーホールの予約お願いしときます。(笑)。

JOSEF:ドイツではヨーゼフのオーボエをよく見られますか?

HENRIK:使ってる人はすごく多いですよ。プロの方もかなり増えてきてますね。若手で有名なところだとハンブルク北ドイツ放送交響楽団のカレフ(Kalev KULJUS)とか、フランクフルト歌劇場オーケストラのニックドイチュ(Nick DEUTSCH)が最近ヨーゼフに切り替えましたね。うちのオーケストラにはオーボエのソリストが3人いるんですが、3人ともヨーゼフを使ってるんですよ(笑) 
数で言ったら、ドイツの場合、マ○ゴーの次はヨーゼフかシュ○リンガーって感じですね。アマチュアの方もたくさん使っていて、本当に見ないところはないくらい多くの人たちが愛用しています。
ドイツではすでにオーボエのブランドとして定着していますね。

JOSEF:ヨーゼフに対する希望はありますか?

HENRIK:仲村さんには楽器に関していろんなアイディアをいただきました。他メーカーの楽器もそれぞれ良いところがありますが、音への追及という点でヨーゼフをしのぐメーカーはないと思っています。楽器メーカーは歴史的な部分に重きをおく傾向もありますが、今までどおり新しいことにどんどん挑戦してこれからもユーザーの希望をかなえられるメーカーであって欲しいです。それでいて良い楽器をたくさん作って欲しいですね。

JOSEF:最後に日本でオーボエを吹いている皆さんにメッセージをお願いします。
interview202.gif

HENRIK:音楽をするということは楽譜を忠実に吹くということではなくて、自分が感じたことをどう表現しいかに人に伝えるか、それを自分自身が喜びと感じて心から楽しんで演奏できるかだと思っています。皆さんもオーボエと格闘(!?)するのではなくて、オーボエを通して音楽を楽しんでくださいネ。

JOSEF:公演の合間をぬってお忙しいところ本当にありがとうございました。
またヨーゼフに遊びにきてくださいね!

▲ ページトップへ

レポート1

"02年3月4日に行なわれた「ステファン・パール&フランソワーズ・マルマン バロックコンサート」の報告です。

聖路加国際病院礼拝堂でのコンサート報告とヨーゼフの楽器の効能について
日時:2002年3月4日(月) 19:00 開演 会場:聖路加国際病院礼拝堂

2002年3月30日 鈴木久仁夫

・演奏曲目
F.クープラン「オーボエとチェンバロのための 王宮の合奏曲 第7番」J.S.バッハ「イギリス組曲第3番 ト短調 BWV808」A.ヴィヴァルディ「オーボエとチェンバロのための ソナタ ト短調」、他

・出演者プロフィール
◇ステファン・パール(Ob.)
1974年パリ国立高等音楽院オーボエ科入学、ピエール・ピエルロのクラスを首席で卒業。1977年よりフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団オーボエ、イングリッシュホルン奏者。クラマー音楽院でオーボエの指導にあたる。1998年よりヨーゼフ社製オーボエを愛用し、その研究開発にも助言を与えている。
◇フランソワーズ・マルマン(Cemb.)
1984年ミュンヘン国際コンクール優勝。パリ国立高等音楽院チェンバロ科、室内楽科、通奏低音科を最優秀で卒業。
アンジェ国立音楽院チェンバロ科教授。1990年パリ国立高等音楽院のチェンバロ即興、レパートリー研究の教授にも任命される。


カテドラルの中のヨーゼフの響き

seiroka01.jpg 今回の演奏会でまず最初に印象深かったのは会場です。カテドラルの中の演奏会は欧米に行きなれている人には珍しくはないのでしょうが、私にとってはこうした場所でのコンサートは初めてのことだったので、とても新鮮な経験でした。驚いたのは、音が正面からだけでなく、とんがった高い天井の上からも降ってくることです。私が座っていたのは最前列から二番目でしたが、すぐ目の前の奏者の音が上からも響いてきます。カテドラルの中の演奏は、天使の声が聞こえてくるように上からやって来るというのは読んだことはありましたが、実際に体験したのは初めてで、私のようなレベルの音楽愛好家には日本ではなかなか体験できないこうした場所をわざわざ見つけて演奏会を開いてくださったヨーゼフ社長の仲村さんの見識に改めて敬服しました。
 愛用者の皆さんにはご承知のとおり、ヨーゼフの楽器はつややかで深い音色と、伸びやかで幅の広い表現力を持っていますが、その特徴がこの会場ではとてもよく生かされていました。前から、そして上からのヨーゼフの響きに、文字通り包みこまれる感動を味わうことができました。


マルマンさんのチェンバロ

 当日の使用楽器はヨーゼフの東松山のアトリエのご近所にある堀洋琴工房製です。華やかさと同時にしっとりとした深い落ち着きのある響きを持った楽器で、ヨーゼフの楽器によく合います。
 お弾きになった曲はすべて感動的でしたが、とりわけすばらしかったのはバッハの「イギリス組曲」でした。最初のひとタッチからして違いました。いきなりこちらの心の深い部分、つまり魂にまでじかに伝わってくる演奏なのです。
 一流の作曲家は(作曲家だけでなく画家も彫刻家も)皆その作品で音楽を越えたもの、人間の魂に直接触れてくるものを表現しようとしますが、深い精神性を持ったバッハの場合は特にそれが強いです。バッハが好きで作品をひととおりきいた人がバッハの代表作を一つか二つあげてくださいと頼まれたら、おそらくほとんどの人が、「ロ短調ミサ」や「マタイ受難曲」を選ぶと思います。そこでは音楽が歌詞と結びついていて、聴く人自身の魂だけでなく人間全体の魂の救済をいかにして実現するかという問題が宗教性という形になって聴く人の心に迫ってきます。
 それでは、この曲のように歌詞を持たない器楽曲の場合はどうでしょうか。ここでも私は同じものが表現されていると思います。私は国文学を専門にしていますので、その立場から解説させていただきますが、ここで言う「魂の問題」と言うのは本来、言葉で最も表現しにくい領域なのです。つまり歌詞があったからといって表現できるものではないですし、さらに小説や評論という形をとったからといって表現できるというものでもないのです。もちろん、それを実現できた作品もあって、それが文学史に傑作として登録されていることになります。たとえば古典では『とりかへばやものがたり』や能の『松風』、近代の作品では志賀直哉の『暗夜行路』などがそれにあたります。ぜひお読み下さい。決して取り付きやすい作品ではありませんが、それはバッハも同じです。
 バッハの作品はそれだけ深い内容を持っていますが、それなら、バッハの作品を弾きさえすれば誰でもそうした深い内容を表現できるというわけではもちろんありません。しかし、根気強い研究と修練でバッハが表したかったものに少しでも近付いていくことは可能でしょう。私のようなアマチュアでもバッハの練習に深い喜びを感じることができるのはそのためです。そうしたとき、ヨーゼフの楽器は作品の素晴らしさを本当に自由自在に引き出してくれます。seiroka02.jpg
 さてマルマンさんの演奏ですが、私が実感というより体感することができたのは、周到な訓練と緻密な作品分析が積み重ねられた結果、どれだけ巨大な感動がバッハから引き出せるかという事実です。一つ一つのタッチ、フレージング、和音の積み重ね、それらのすべてに深い意味を感じ取ることのできる演奏でした。
 会場の聖路加病院の名誉院長の日野原重明さんは、末期医療やホスピス、つまり治すための医療でなく、治療の困難な患者さんに残された生命をその人にとって意義あるものにしていくにはどんなケアが必要かを考える、まさしくこれは魂の問題ですが、その分野の医療の世界的な権威です。また宗教や魂の問題で近年最も忌まわしい事件だったオウムの事件の際にテロの被害者の救援と治療で獅子奮迅ともいえる中核的な働きをしたのがまさにこの聖路加病院の医師団と医療スタッフでした。
 マルマンさんの演奏を聴きながらこうしたことも私は考えていました。陶酔してわれを忘れると言う演奏でなく、聴く人を考え事に誘うタイプの演奏でした。


パールさんのオーボエ

 使用楽器はヨーゼフのMGF2です。これは私が使っているのと同じモデルですので、どんな演奏でこのモデルの良さを引き出してくださるかが、とても楽しみでした。
 仲村さんは演奏会の帰りにパールさんの演奏を評して「典型的な二番吹きのソロですね。」とおっしゃいました。パールさんはフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団でセカンドを担当されています。つまり、ファースト吹きのように自分の感動を堂々と押し出していくのではなくて、曲を良く知り、あくまでも曲の中の自分の役割を考えた上で計画的に吹く演奏だということです。私がこのサイトに御報告しておいた「トーマス・ローデ公開レッスンメモ」の中でローデさんは「頭でなく心と腹でふけ」とおっしゃっていますが、それとは違う吹き方です。周到な理解の上にたって計画的に吹け、心と腹も大切だが頭で吹け、という演奏スタイルです。
seiroka03.jpg 演奏された曲の中で印象に残ったのはC.P.E.バッハのソナタとヴィヴァルディのソナタです。この二つの曲ではパールさんの演奏スタイルの二つの表れ方を楽しむことができました。
 C.P.E.バッハの世代はすでに父親のJ.S.バッハのような調和と秩序の支配する対位法の世界の住人ではありません。音楽は完全に前期ロマン派の響きに変貌しています。ロマン的な歌が曲の中からあふれるように自然に流れ出してきます。しかし、その中でもパールさんは知的な厳格さを全く崩しません。その結果、この演奏では、ロマンティックではあっても、明るいロマンの響きでなく、厳しさの中で朗々とした歌が聴こえてくる音楽、きびきびしていると同時に伸びやかさのある音楽が表現されていました。
 ヴィヴァルディのこのソナタはヨーロッパの伝統的な舞曲の正確を色濃く残しています。第四楽章などは軽快な舞曲のジーグそのものです。ですから、舞曲が本来持っている躍動感にいったんのせてしまえば、その調子で吹ききってしまってもかまわない曲なのかもしれません。しかしパールさんは分析的で考え抜かれた吹き方を最後まで維持しました。演奏の隅々まで良く考えられ、工夫されていました。ですから、次に来るフレーズがどんなアーティキュレーションで表現されるかをわくわく期待しながら楽しむことができました。フレーズが一小節単位で細かく考え抜かれて工夫されています。次から次へ、ああ、こうして吹くのだな、と感心して聴いているうちに曲がぐんぐん展開していきます。ご存じのとおりバロック音楽では二番目の繰り返しで華麗な即興が入ります。そこで奏者の力こぶが、ぐぐいと入りだします。その個所にさしかかると、ほとんどスリリングな興奮を覚えることができました。パールさんのこの曲の演奏ではきちんと管理されたイタリアバロックの秩序の中で知的なアーティキュレーションがきらきらと躍動していました。
 知的な演奏スタイルでは伴奏のマルマンさんの演奏も全く同じです。バロックの演奏ではチェンバロの右手の奏法は演奏者に一任されます。パールさんの考え抜かれた即興にマルマンさんのチェンバロの右手が宝石の装飾のようにちりばめられていきます。二人の演奏が絡み合い、対立し、溶け合う変幻自在の妙を聞く楽しさと言ったら、もう、ほとんど法悦と言っていいものでした。
 実に楽しい演奏会でした。


ヨーゼフの楽器の顕著な効能について

 バッハをヨーゼフで吹く楽しさについて少し触れました。私は2月にヨーゼフで新しく開発したてのモデルのイングリッシュホルンを試奏することができました。そのとき仲村さんはバッハのイ長調の協奏曲の第二楽章(仲村さんのお気に入りの曲です)を吹きながら、「この楽章の音楽をのびのびと表現できる楽器を目指しました。」とうれしそうに話してくれました。さてこのモデルを使ってバッハを吹いてみると本当に楽しくて楽しくて、知らない間に時が立ち、イングリッシュホルンはオーボエよりも大きく息を使う楽器ですから、というよりこのモデルが素晴らしく伸びやかに響く楽器なので知らず知らず大きく息を引き出されて肺をたっぷり使ってしまい、体が熱くなって汗がたくさん吹き出てきました。
 私はその二週間前にひいた悪質なインフルエンザの後遺症で体が冷えてせきが止まらなくて苦しんでいたのですが、それがかなり良くなってしまいました。苦くて冷たかったビールの味がさわやかでおいしく感じられるようになりました。
 巷(ちまた)では「癒し系音楽」という言葉が流行っていますが、「このモデルのイングリッシュホルンを使うと血の巡りが良くなって風邪が治ります。脳の血流も改善されてボケにも効くかもしれません。」という宣伝文句をつけたら医療関係にも売れるかもしれないね、とヨーゼフのスタッフたちと大笑いしました。私はそうした効能はおそらくありえるとまじめに考えています。息を大きく使えて循環器系に活を入れられるし、音楽の感動で脳が生き生きと刺激されますからね。
 さて、パールさんの楽器ですが、倍音が豊かで高音の伸びのいい、オーケストラのファーストやソロに向いたモデルのMGF2を使われています。パールさんはファースト吹きとは正反対の音楽作りをしますから、本来このモデルとは合わないはずなのに実際はその正反対です。このモデルは本来の適性とは正反対のパールさんの音楽の理想を一層美しく表現していました。
 面白いことにヨーゼフの強力な支持者の一人のトーマス・ローデさんは典型的なファースト吹きのソリストなのにもかかわらず、MGFの流麗な表現力とは別の方向の、木の柔らかな響きを追求したCGF2クレメントモデルをお使いになっていることです。ヴェルクシュタット・ヨーゼフでローデさんがこの楽器で演奏されたリヒャルト・シュトラウスのコンチェルトのCDを聴きましたが、それはもう見事なものでした。木の響きがローデさんの輝かしさに深さと落ち着きを与えていて、その結果ローデさんの音楽の世界が広がっています。今のところ一般への発売の予定はないのが残念ですが、なんとか売りに出して欲しいものだと思います。一刻も早い一般発売が待たれます。
seiroka04.jpg ここまで書けば「ヨーゼフ楽器の顕著な効能について」はもうお分かりになると思います。
 つまりヨーゼフの楽器は私たちの中にある可能性を広げてくれるのです。ファースト吹きタイプの人はMGFを使えば自分の演奏タイプをさらに伸ばせますし、CGFを使えば自分と反対の領域を開拓できます。同時に自分の演奏をMGFとは違った仕方で豊かにしてくれます。セカンド吹きタイプの人にも同じことが言えます。私たちの今の能力をのばしてくれるだけでなく、私たち自身が本来の姿とは正反対のものと考えて無視しているか、あるいは気づかずにいる大きな可能性を目覚めさせてくれるのです。
 つまり、ヨーゼフの楽器は私たちが音楽の中で新しい自分の音楽性を発見し、そして今の自分の能力をより美しく開花させる手助けになってくれるのです。
 ここまで考えるとヨーゼフの使用者がプロかアマチュアかはもはや問題にならなくなります。ヨーゼフの楽器は音楽とオーボエを愛する人すべてに最も信頼できるパートナーになってくれるということなのです。

▲ ページトップへ

レポート2

トーマス・ローデ氏公開レッスンメモ

去る2000年10月21,22日にトーマスローデ氏のレッスンに参加し、私なりにレポートにまとめてみました。初心者の方、アマチュアの方、音大生の方々にも多少なりとも参考になれば幸いです。
氏の発言と比べて足りないところや、その意図するところと違いがあるかもしれませんが、ご了承下さい。

2000年10月21,22日 鈴木久仁夫

●基本の腹の作り方
腹は絶対に硬直させず、ゆったりとくつろげて充分に息を吸い、そこで音の支えを作った上で、たっぷりと息を吹き込んで、のびやかな広がりのある音を出します。実際にゆっくりと歩きながら吹く練習も効果的です。ベルトを生徒の腹に巻いてふくらませ、腹の感覚をつかませる練習も効果的です。

●咽喉(のど)と体の広げ方
咽喉で締め付けないように注意して下さい。ほとんどの人が、そうなりがちです。大きな音は口をいっぱいに開け、息をたくさん使って吹くこと。こうすると暖かく豊かな音色になります。ただし大きな音でも耳に立つ音になる事は極力警戒すべきです。音の広がりは自分の体を上下に、前後に、左右に広げることで表現します。

●アンブシャー
下唇で浅くくわえて大きく巻き込みます。巻き込んだ下唇の上にちょうどベッドの上に体を横たえるようにリードを置いて下さい。上唇はほんの添える程度で充分です。口は上下に大きく開けます。こうすることでいろいろなバリエーションのある表現が可能になります。音のコントロールは下唇との接地面が大きいほど楽になります。口をいっぱい開け、リードを充分振動させ、息をたっぷり送り込みます。昔はリードを上下の唇でペチャリとくわえてチャルメラのように吹いていたのでしょうが、だんだんこのような吹き方が工夫されてなめらかで伸びやかな音になってきたのでしょう。

●楽器を持つ角度
楽器の角度はあまり上げ過ぎないように。リードが下唇から離れて、コントロールできなくなってしまう危険が出てきます。

●音の出だし
音の頭は破裂音にならないように極力注意すべきですが、日常の練習、また残念な事にコンサート本番でもこの事故がしょっちゅう起こっています。上記の注意を守り、アンブシャーのところを良く読んでおけば、丸みのある美しい出だしになります。

●演奏の時の顔つきについて
苦しそうに吹かないで下さい。目を輝かせて活き活きとした表情で吹くべきです。実際、オーボエは苦しい楽器なのですが、それを客に決して悟らせないように吹かなくてはなりません。こわい顔で吹かないで下さい。お客様に品物を勧めるように吹いて下さい。お客様が売り物が良くわかるように、買う気がおこるように吹きましょう。苦しそうな顔だとお客様が逃げてしまいます。自分の意図を客に伝えるには柔らかな明るい表情が、まず必要です。

●音質について
音質を美しくしないと客は退屈します。fでもpでも充分コントロールされて、自由でなおかつ響きもなければなりません。アンサンブルの中では目立ち過ぎないように、ソロではオーケストラと対等な音量も必要になってきます。高音についてはやせないように工夫して、口を開いて響きを持たせて吹いて下さい。あくまでも音質は音楽を演奏する上での一つの要素です。

●タンギングについて
上記の注意を守れば、「ベッ」「ビャッ」というタンギングでなくて、ちゃんとその楽器の音色が詰まった丸いタンギングになります。「テュッ」「デュッ」という感じで吹きます。タンギングの直後、発音を舌先で止めてしまう癖を持った人がいます。この原因は、緊張して腹を硬直させてしまって、本人の意図と逆にかえって息の支えが弱くなってしまっている結果、タンギング直後に音が垂れ下がってしまうのを、無意識的に舌の先でリードを止めてしまうことによります。上記のとおりに腹とアンブシャーをきちんと作り、舌を引いたままにすれば防げます。聞き手が自由さを感じるように吹いて下さい。ブリリアントでエレガントな演奏は一つ一つの音を均質にすることで可能になります。ただし、均質な音作りは機械的なフレージングとは全く違います。一つ一つの音の価値をすべて引き出すことが均質な音づくりということです。すぐ間違えて機械的になりがちなので、充分注意して下さい。

●フレージング
そのフレーズの持っている「物語」を聞き手が理解できるように、語りかけるように吹いて下さい。この場合「あたま」で吹くとかえってまずくなる場合があります。「腹」と「こころ」で吹いて下さい。長いフレーズの流れをとらえた上で、その中で短いフレーズを作っていきます。

●ダイナミックス
pとfの区別は、音の大きさでなく、差をつけることで表現します。fの時、舌と指は固くしないで下さい。意識的に軽やかにしないと豊かなfでなく、単なるうるさいだけの大きな音になってしまいます。

●クレッシェンド、ディミヌエンド
クレッシェンドは体もふくらむようにして表現しましょう。ディミヌエンドの時は、それを支える腹の方はたっぷりとした息で支えないと曲が垂れ下がってしまいます。ディミヌエンドは、その前のフォルテがきちんと出ていれば楽に表現できます。クレッシェンドは、表示が出てもギリギリまで我慢すること。

●ヴィブラート
ヴィブラートは音の上にかけて下さい。音の下にもぐらせないこと。ヴィブラートの練習はゆっくりからだんだん速くしていきます。ゆっくりしたヴィブラートを目指して練習すると、ヴィブラートを意識的にコントロールすることが出来るようになります。ゆっくりとした練習とは余裕のある練習という意味です。充分に余裕を持って練習して下さい。余裕が無い練習では自分をコントロールする練習は無理です。速い曲のヴィブラートは「重要な音」にかけて下さい。例えばフレーズの頭にかけると音の重量感が増し、曲の速さに安定感が加わり、旋律に歌が生まれてきます。ヴィブラートは作曲家によってかけ方が異なります。ブラームスのヴィブラートは速く、ワーグナーのヴィブラートはゆったりです。どんなヴィブラートがその作品に適しているか良く考えましょう。曲によって、その美しさが一番良く表現できるヴィブラートを意識的に使いわける必要があります。

●カデンツァ
速い楽章の前の、緩徐楽章のカデンツァ(モーツァルトのコンツェルトの第二楽章など)は、たとえゴチャゴチャしていてもゆったりと、そして変化をつけて吹いて下さい。そうしないと次の速い楽章との間の変化を聞き手が楽しめなくなります。カデンツァの演奏のこつは変化をつけて、その中でいろいろな歌を歌うことです。

●ソロの時のイメージは大ホールで吹いているように吹きます。

●ブラームスの交響曲一番の有名なソロ
上の音が特に重要なので特に美しい音で吹いて下さい。

●同じ曲の有名な最初にロングトーンが出てくるソロ
最初の長い音が退屈になってしまわないように、小さく始めてだんだん大きく、そして美しくヴィブラートをつけていきます。

●ブラームスのVn協奏曲二楽章冒頭のソロ
フレーズの最初は単純に子供の曲のように吹きます。フレーズの進行に連れてだんだん深いドラマが始まります。オーボエの出来る美しさが全部表現できるフレーズです。ここで客を泣かせなくてはオーボエ吹きになった甲斐がありません。

●ブラームスの交響曲三番のソロ
Vn協奏曲のソロはひっぱると良くなる音楽ですが、これは正反対で凝縮すると良くなります。

●ブラームスのハイドンの主題による変奏曲
この曲を聞いて、pがどれ程大切かを客があらためて思い知るように吹いてみましょう。

●モーツァルトのセレナーデ「ナハトムジーク」
セカンドの重要性がとても高い曲です。セカンドがうまければファーストは楽に吹けます。双方うまくなければ音楽になりません。セカンドの刻みを音楽的にすると曲が生きます。セカンドは緊張しても音楽を固めてしまわないように注意すること。

●名歌手のような響きで吹いて下さい。パバロッティのように。
どんなに複雑で速いパッセージでも聞き手に難しさを感じさせないように吹けるように努力しましょう。軽々と楽しそうに吹けるように努力して下さい。前へ前へと演奏して下さい。少なくとも聞き手に前進の意気込みが伝わるように演奏します。より多くの息をオーボエの中に吹き込むことを心がけて下さい。指は常に軽く、できるだけ小さな動きで。大きな動きでバタバタ動かさないで下さい。かえって難しく、不確かな運指になってしまいます。また、指はこわばらせないこと。柔らかく持って下さい。速い曲はできるだけフレーズを長く理解した上で軽やかに吹き、軽快さの中になだらかな歌が聞こえるように吹きます。聞き手がいろいろな楽しみを感じ取れるように吹くべきです。ゆったりしたフレーズの演奏は良い音で、機械的にならないように吹いて下さい。

●目を輝かし、腹を十分に働かせて吹いて下さい。
モーツァルトの協奏曲の第二楽章のようになだらかな曲の場合、フレーズの中の音は全てきれいに吹き、全てヴィブラートをかけて吹いて下さい。ヴィブラートがあったり、なかったりするようでは駄目です。高い音はもっと腹をたっぷり使ってきれいに響かせ、ヴィブラートが聞こえるように吹いて下さい。ピーピーキーキー吹くことは絶対にやめて下さい。きれいに吹いて下さい。リードをビチッとさせたり、ビャーとさせたりは絶対しないこと。少しでも気を抜くとすぐにそうなります。可愛らしい音、聞き手がおもしろみと興味を抱ける音を目指しましょう。

●繰り返されるフレーズの演奏は、最初は二人でワイングラスを傾けるように、二度目は彼女の体を優しくなでるように。
低音のアクセントは「ッタ」ではなく「ンダ」と、かけて下さい。速い曲は、速度を速くするのではなく、より軽やかにフレーズを作り、その中であるべきところに軽やかで適切なアクセントをつけ、クレッシェンド、ヴィブラートをつけて吹いていきます。また、ていねいに吹くことも忘れずに。オケでの吹き方は一番奥の客に届くように伸びやかに豊かに吹きます。そのくらいで丁度良いです。客に届く音というのは、大きい音という意味ではなくて、客に意図が伝わる音という意味です。何で自分が引き付けられるのか客自身がわからないところを、こちらはきちんと理解して吹かねばなりません。

以上のようにして作る良い音楽は常に事故と紙一重です。だから事故が起こって当たり前なのですからびくついて吹かないで下さい。びくつくことで生じる無用の緊張感が事故を生み出す危険性も出てきてしまいます。事故を気にしないで下さい。決然として、そして常に前進の意志をみなぎらせる吹き方さえしていれば客の耳には事故はそれほど目立ちません。リラックスして注意深く、集中して、楽しく、積極的に、伸びやかに演奏しましょう。

おわりに
本来予定の無かった22日に、21日に聴講した人たちの為に追加でレッスンをしていただきました。私も1時間ほど、有意義なレッスンを受けられて非常に幸せでした。
氏の人間味溢れる人柄、音楽性に心から感服しています。

▲ ページトップへ

製品紹介

オーボエ

オーボエダモーレ

イングリッシュホルン

クラリネット

ピッコロ

アクセサリー

CD

楽譜