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インタビュー

 

プロフィール

 

*シュテファン・パール(以下文中:S)

11歳からオーボエを始める。パリのコンセルヴァトワールを卒業。オーボエをベルナール・ヘンキン,ピエール・ピエルロの各氏に師事。現在、ラジオ・フランス・フィルハーモニーのオーボエ奏者。

 

*山本 直人

武蔵野音楽大学卒業。その後、ドイツのベルリンに留学。第55回読売新人演奏会に出演。オーボエを陶山勝、吉成行蔵、北島章、インゴ・ゴリツキ、アンドレアス・ヴィットマンの各氏に、室内楽をローター・コッホ氏に師事。現在、名古屋フィルハーモニー交響楽団のオーボエ奏者。

 

*脇岡 総一

東京芸術大学卒業。ドイツのハンブルグに留学。オーボエを梅原よしお、リーバマンの各氏に師事。現在、東京都交響楽団のオーボエ奏者。

 

 2000年12月8日 場所:Werkstatt Josef

 

S:コンニチハ!ワタシ ハ シュテファン サン デス。

 

全員:ワハハハ!(笑)

 

--今日はラジオ・フランス・フィルのオーボエ奏者、シュテファン・パールさんと名古屋フィルの山本先生、東京都響の脇岡先生、それに、ヨーゼフの仲村社長も交えて、いろいろとお話をうかがおうと思います。まず、始めに皆さんはいつ頃からオーボエを始めたのですか?

 

S:一番最初は、11歳の時でリモージュという町のベルナール・ヘンキン氏の元でオーボエを習いはじめました。その後パリのコンセルヴァトワールに入学し、最終的には、パリ・オペラ座のオーケストラ奏者であったピエール・ピエルロ氏の元で学びました。

 

脇岡:オーボエを始めたきっかけは・・・別にないなぁ・・・。ブラスバンドでオーボエの譜面があったので、どういう楽器かなぁと興味を持ったのが始まりです。その頃はオーボエが学校になくて、おまけにオーボエの事をまったく知らなかったのに、買ってしまいました。

 

山本:始めたのは、中学校のブラスバンドです。最初フルートをやっていたのですが、顧問の先生がオーボエの先生で、「やってみろ!」と言われて、それ以来ずるずると・・・という感じでやっています(笑)。

 

仲村:もしかして、陶山先生ですか?

 

山:そうです。陶山先生に最初習っていて、武蔵野音大に入学してから吉成先生に、卒業してから北島先生に習いました。その年に名フィルに入団し、その後 ベルリンに留学した時はヴィットマンのレッスンを受けました。

 

--オーボエ奏者で影響を受けた方、又は好きな奏者がいれば聞かせて下さい。

 

S:ハインツ・ホリガーとモーリス・ブルグ、ピエール・ピエルロですね。それに若手のプレイヤーではフランソワ・ルルーがすばらしいと思います。

 

山:始めた頃、レコードなどを買って聞いてみたのがロータ・コッホです。やっぱり音が良いなあ、と思っていました。

 

脇:私は、リーバマン、クレメントが一番影響を受けたオーボエ奏者ですね。

 

仲:私は、ホリガー、ブルグ、ピエルロ、ルルー、コッホ、リーバマン、クレメントです。

 

全員:それじゃ、皆じゃないか〜!(笑)

 

脇:そういえば、ホリガーと言えば仲村さん、この前、ドイツで会ったんでしょ?

 

仲:はい。ヨーゼフの楽器を試奏してもらったんです。はじめてお会いしたのですが、とてもすばらしい人でした。

 

脇:へー、で、どうだったの?

 

仲:ええ、とても気に入ってもらえましたよ。

 

S:フーン、やっぱりね。

 

--ところで、シュテファンさんはフランス人ですが、どうしてヨーゼフを吹き始めたのですか?

 

S:それは良い質問です。私も良い楽器を探すため、数多くのオーボエを試奏してきました。YUKIO(註:仲村社長の事)に出会ったのは、15年程前の事で彼がまだ演奏家としてドイツにいた頃です。演奏家としても立派な彼が楽器を作る!というのを聞いてとても興味を持ち、彼ならきっと演奏家の立場に立った楽器を作りだせるだろう、と思いました。10年程前、日本での演奏旅行の際に彼の試作の楽器を吹いたのですが、これは近いうちに世界のトップレベルに達するだろうと感じました。そして3年程前もう一度試奏する機会があり、手放せなくなってしまったのです。何よりも気に入ったのは、私の音楽が、自由に表現出来る、という点です。これは非常に重要な事だと思いますがなかなかそういう楽器がないんですよ。しかもとてもきれいなつくりだし、材料もすばらしい、、、芸術品ですね。

 

仲:確かにメカニックに関してはなるべく反応が良くなるよう、硬い金属を使ったり、という研究もしています。

 

S:私から見れば、ヨーゼフは日本というフランスから遠く離れた外国のメーカーです。外国のメーカーがフランスの演奏家に受け入れられるには、初期の段階から最良の品質でなければ難しいと言えるでしょう。何しろフランスのオーボエメーカーはとても沢山ある訳ですから、フランスの楽器よりも上回る良さがないとフランス人は使わないでしょうね。私がフランスで初めてMade in Franceではないヨーゼフの楽器を使ったプレイヤーでしょう。

 

--しかし、実際楽器を変えられる時に抵抗もあったのでは?

 

S:いいえ、全くありませんでした。確かにこれは一つの冒険だったかもしれませんが、私はヨーゼフを使う事で、自分と楽器との関係がより良いものになる!と思いました。

 

--フランス・タイプのリードとヨーゼフ・オーボエの相性はどうでしょうか?

 

S:問題ないでしょう。ただ、チューブはヨーゼフの物に変えました。現在使用しているリードは、全長が74〜5mmでチューブは47mmのもので作っています。以前の物は、全長がもうすこし長く、チューブも太い物を使っていました。ヨーゼフのチューブに変える事は、私にとって一つの挑戦でしたが、変えたことによって、より楽器の性能を高める事が出来ました。

 

--シュテファンさんはフランスで最初のヨーゼフ使用者という事ですね。

 

S:オーケストラにこの楽器を持っていくと、皆興味津々なんですよ(笑)

 

--オケでの協調性などはどうですか?

 

S:私自身はオーケストラの中で、楽器を変えた事によっての違和感はありませんでした。自分自身がいかに良い演奏ができるか、という事が協調性にもつながっていくのではないでしょうか。ただ、以前使っていた楽器とメカニック的なものが違うので慣れるまで大変でしたが、もう3年も使っているので十分慣れました(笑)

 

--フランスの方には上管の人さし指のキィに鑞をうめずに猫目にしたり、若干、調整の仕方も変えています。

 

S:運指が違う所もありますからね。

 

--コンセルヴァトワール式の運指で吹いているのですか?

 

S:基本的にはそうです。

 

仲:先日、ホリガーに会った時に、高音のHの音を出すのに何十種類もの指づかいで吹いているのを見て実にびっくりしました。今まで見た事もないような指づかいで、まるで、指が20本あるのかと思う程でした。

 

S:そうそう。指使いによって様々な音色が出ますから。メカのシステムによっても、指づかいは若干の違いはありますからね。しかし、そういった違いはあるにせよ、フランスやドイツ、アメリカなどいろいろなスタイルを包容するだけの幅の広さがこの楽器にはあると思いますよ。これから先、フランスのオーケストラの中でも十分広がっていくでしょうね。実際、モンペリエ・オーケストラのジル・ルリエ氏もヨーゼフを使用しています。彼は、「ヨーゼフを吹く事に非常に幸せを感じているんだ」と言っていました。あ、それに、ヨーゼフの完成品のリードも使っていると言っていましたよ。

 

--脇岡先生は昨年の春からヨーゼフ・オーボエを使っていらっしゃいますが、どうですか?

 

脇:オーケストラで吹いていると音程が良くてびっくりしました。高音はちゃんとはまるし、吹いていて気持ちがいいです。しかも、音の質がいいよね。だから、こんなに短期間で「よくこれだけの楽器が出来たなぁ」とびっくりしています。

 

--山本先生はこの3人の中で一番古株のヨーゼフ・ユーザーですね。

 

山:今の楽器は2年弱、その前はココボロを3年間程吹いていました。やはり気に入っているのは音程の良さですね。しかも響きが豊かだし、ホールで吹いていても客席の後ろまでちゃんと音が通る気がしますね。

 

--ヨーゼフでは最近普通のノーマル・タイプの他にメタル.タイプとクレメント・タイプという新しいモデルを出しました。そこで、脇岡先生はクレメント・タイプ、山本先生とシュテファンさんはメタル・タイプを使用されているので、それぞれの印象をお聞きしたいのですが。

 

S:私は、メタル・タイプの非常に力強い音色が気に入っているのですが、今日、このリードを入れるソケットに埋まっている金属を見せてもらってびっくりしました。こんな大きいものが入っているのですね!

 

--きのこ型の金属が入っています。

 

S:力強い音色はここから来ているのですね。どこからこんなアイデアが生まれたのですか?

 

仲:ヒミツです(笑)。

 

--山本先生は?

 

山:メタル・タイプが出来たときに吹かせてもらったら、何しろ響き方や音の通り方が全然以前の楽器よりも一段と改良されていて、すごく気に入ってしまったんです。クレメント・タイプも吹いてみましたが、自分にはメタルの方があうのではないかと、、、しっかり吹き込んでも対処してくれる感じがしますね。クレメント・タイプは割と楽に吹いても結構鳴る部分もあって、、、どちらを選ぶかとなると後は好みでしょう。

 

脇:メタル・タイプの楽器は好きなんですよ、僕も。あれも良い楽器だと思うし。ただ、クレメント・タイプというのが春に出来て、試奏してみたら気に入ってしまって、それで使っている、という訳です。ただ、違いは確かにあるよね。メタルとクレメントを比較した僕の印象は、メタルが割とクリアーな感じでクレメントの方は木の響きが多い。特に上管の響きがね。クレメントのベルはどういう意図があってこういった形にしたの?

 

仲:バロック・オーボエやウインナ・オーボエにも興味はあるんですよ。それでこういったアイデアをずっとあたためていたのです。

 

山:クレメント・タイプという名前の由来もぜひ聞きたいです。

 

仲:クレメントさんはヨーゼフのオーボエを一番最初に使って頂いたプロのオーボエ奏者です。2000年に定年退職され、家族で4月に日本旅行に来られ、私の家に滞在しました。その時、一緒に新しいタイプのオーボエを開発する機会を持て、多くのアドバイスを頂きました。クレメントさんは今さら説明するまでもなく世界的に有名なプレイヤーですので、ヨーゼフでは敬意を表して名前をつけさせて頂きました。

 

--最近、変わった所だとココス(コークス・ウッド)という木材で楽器をつくってみました。

 

脇:あ、そうそう、この前シカゴのヘノック氏が持っていったヤツね。

 

山:え!シカゴにもヨーゼフ使ってるひとがいるんですか?

 

仲:スーパーワールド・オーケストラで来日した時、池袋店に来てくれたんですよ。ゲヴァントハウスの首席オーボエ奏者のヘンドリック・ヴァールグレン氏と一緒に来て、吹いたらすごく気に入ってしまったみたいで、そのまま持っていかれました。

 

脇:ローズやココボロとどう違うの?

 

仲:材料の身のつまり方が違いますし、今のところ割れの問題も無いみたいです。

 

脇:どこでとれるの?

 

仲:キューバのまわりの島々でとれるんです。

 

--ヨーゼフではE.H.も作っています。

 

S:今回私は仲村さんとフランスの奏者向けのE.H.を開発するために来日したのですが、1年前に吹いた時よりも、また、フランスのプレイヤーにとっても吹きやすい楽器になりました。低音から高音まで幅広い音色の出せる楽器だと思います。E.H.を吹くのに、低音、特にE音は非常に難しいとされていますが、このヨーゼフのE.H.はオーボエと同様音程が良く問題はない、と確信しました。

 

仲:オーボエほど市場は大きくないけどちゃんと作らないといけない楽器だと思います。すでに、ドイツの有名なオーケストラからも注文があるんですよ。

 

山:名フィルはすでにヨーゼフのE.H.を使っていますよ。新世界のE.H.のsoloの出だしの音は全然恐くないし、音程も気にする事なく簡単に吹けるんですよ。オーボエ・ダ・モーレも期待しています!

 

仲:そうそう、ホリガーも「オーボエとE.H.がこれだけ良ければダ・モーレも絶対いいにきまってる!」と言っていて、「いつ出来るの?」と聞かれました。今、忙しくて中止していますが近い将来には出来ますので期待していて下さい。

 

--ところで、昨年の10月にフランスのボルドーで展示会があり、その際、スウェーデン放送のウルフ・ヴィヨルンヘッド氏と一緒に演奏されましたが、いかがでしたか?

 

S:ボルドーのコンサートでは、イサン.ユンという韓国の作曲家が書いたオーボエ二重奏を演奏しました。この曲は、今から約15年前の作品で、リズムも複雑で、しかも近代奏法も使わねばなりません。音程やリズムを正確に演奏するには、非常に高い演奏技術が必要です。私とウルフ氏は、お互いあまり時間が取れず、さらに住んでいる場所も全然違う為、合わせの時間は1日半しかありませんでした。しかし、彼とは、昨年アンジェでフランス・ダブルリード主催のコンベンションの際に仲村氏と、トーマス・ローデ氏とミュレー作曲の「3本のオーボエとイングリッシュ・ホルンの曲」を演奏した経験もあり、一緒に演奏するのが初めて、という訳ではなかったので、安心して演奏する事が出来ました。なんと言っても、彼は人間的にもすばらしく、又、お互いの呼吸がうまく合い、演奏会ではとても良い演奏が出来ました。ウルフ氏もヨーゼフを使っており、今回一緒にデュオを吹く事が出来、非常に楽しく過ごす事が出来ました。彼も私もおいしいものを食べるのが大好きなグルメですので、本番のステージ意外でもすごく楽しかった!(笑)来年はリヨンでやるんですよ。脇岡さんも山本さんも参加しませんか?

 

山:何があるの?

 

仲:そりゃあもう、フランス料理にブルゴーニュ・ワインがたっぷり、、、。

 

山、脇:ワーオ!よだれがでるぅ〜!

 

仲:じゃ、焼肉食べに行こう!

 

全員:さんせーーい!!

 

こうして、グルメな夜はふけていったのでした、、、。

 

--という事で、皆さんお忙しい中、本当にありがとうございました。来年のリヨンでのコンベンションに向けてより良い楽器が出来るよう、研究を重ねていきたいと思っています。また、皆さんの御活躍も期待しております。ありがとうございました。

 

●インタビュー ●トーマス・ローデ公開レッスンメモ

●聖路加国際病院礼拝堂でのコンサート報告とヨーゼフの楽器の効能について ●写真絵日記2002フランス

●インタビュー(ヘンリック・ヴァールグレン氏)NEW!

 

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